人生最初の記憶
人生で最初の記憶は
3歳の時の父親のお葬式
と、長いこと思い込んでいましたが、果たして実際の記憶なのか、後から周りの大人に聞かされた記憶なのか、今となってはわかりません。
「ほら、⚪️⚪️ちゃん、絵を入れてあげようね」
と誰かに言われて、棺に絵を入れたような。
「亡くなる前の夜に、何度も起き出してきては母親に叱られていた。」
とは、たまたま前日に訪れていた祖父から聞かされたか。
父は当時の国鉄の職員で、祖父と汽車に乗った時に車掌姿でにこにこと切符を確認していた、
という記憶も怪しいけど。
3歳までの写真はそれでなくとも少なく、父親に抱かれているものは1枚もなく、母親に抱かれているものさえ、赤ん坊の時の1枚くらいだ。
死因は「脳溢血」と聞かされている。
祖父(母親の父)に抱かれて息を引き取ったらしい。
まだ34歳。突然の死だった。
もちろん当時の私には何が起きているのかわからなかった。
若い母親には3歳の私と1歳にもならない弟が残された。
当然のことながら、子供二人をどうするか、は大問題だったことだろう。
初めから母親が二人を育てる、という選択肢はなかったんだろうな、と今思うけど、多分ずっとそんな気がしていたかもしれない。
知らない夫婦が会いに来た朧な記憶があって、多分あれは養子にするかどうか、みたいなことだったのかな。
父方の実家にも行っていたけど、私はそこの祖母(父の母)と合わなくて、ひどく嫌っていた。いとこたちとは一緒に遊んだりもしていたような気がするけど。私は当時は母方の祖母が好きだったから、その悪口を言われたのが理由かもしれない。
母方の祖父が迎えに来て、帰り際に
「またおいで」
と言われたのに
「もう来ない!」
と、言ったらしい。
自分の昔の記憶では「死んじゃえ!」と言ったような気もして、なんて酷いことを言ったものだと思う。だから随分たってから本当に亡くなったことを知らされた時は胸が痛んだ。実際その家にはその後行った記憶がない。(あったとしても憶えていない)
別れ際にひどい言葉を投げたりひどい態度を取ったりするのはよそう。
ともかく、弟と私は母方の祖父母に育てられることになった。